SCM(Supply Chain Management)とは、サプライチェーンを適切に管理(Management)することです。英語のManagement という単語は、日本語の「管理」という意味に加えて、「困難な状況を何とかする」という意味があります。したがって、SCM はサプライチェーン上の困難な問題をなんとかする、と言うこともできます。そして、SCM の目的は利益を生み出す(お金を儲ける)ことです。お金を儲けるには、「売れる物を、売れる時に、売れるだけ、売れる所に、低コストで供給する」必要があります。
計画系SCM は、サプライチェーンを計画に基づいて管理することです。そのためには、
①未来の需要を予測し、販売計画を立てる…DP(Demand Planning)
②販売計画(予測オーダ)から、調達・生産・物流計画を作成する…SCP(Supply Chain Planning)
③計画を実行して、実需要を満たす…SCE(Supply Chain Execution)
の3 つが必要になります。
DP (需要予測)
「需要予測は当たらない」と言いますが、所詮未来のことを常に正確に予測することは不可能です。しかし、需要予測データは必要です。その理由は、例えば、6 カ月の納期がかかる原材料の調達計画を立てるには、6 カ月以上の需要予測データが必要だからです。SCP で物流・生産・調達計画を作成するには、一般的には、後述するサプライチェーンのトータルリードタイムより長期間の需要予測データが必要です。
SCP (サプライチェーン計画)
SCP は、予測オーダと購買オーダ(確定オーダ)を入力して、今後、各拠点がどのように物流・生産・調達をするべきかを計画します。
①物流計画…どこから、どこに、いつ、何を、いくつ配送するのか。
②生産計画…どこで、いつ、何を、いくつ生産するのか。
③調達計画…どこから、どこに、いつ、何を、いくつ調達するのか。
などを計算します。適切な計画を立てることが、リードタイム短縮、在庫削減、可視化を可能に
して「売れる物を、売れる時に、売れるだけ、売れる所に、低コストで供給する」能力を向上さ
せます。
SCE (サプライチェーン実行)
SCE は、SCP の計画をもとに物流・生産・調達を実行します。今、どの荷物がどこにあるのかをトラッキングしたり、現在在庫データを収集します。
本書では、以下SCP についてさらに詳しく説明します。