前著「グローバル競争に勝つSCM」では、お金を儲けるとは、

「顧客の望みを叶えることにより、お金をいただく」

こと。そして、顧客の望みとは

「必要な物を、必要な時に、必要なだけ、必要な所に、低価格で提供を受ける」

ことであり、会社がやらなければならないことは、

「売れる物を、売れる時に、売れるだけ、売れる所に、ローコストで提供する」

ことであると、私の考えを説明しました。

 

利益を増大するには、売上を増大し、コストを低減する必要があります。

 

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売上を増大するには、SCM において以下の3 点が重要です。

◆多品種化 (売れる物)

◆納入LT 短縮 (売れる時)

◆納期遵守 (売れる時、売れるだけ、売れる所に)

これらは、顧客満足に直結しています。また、コストは、

◆在庫コスト

◆業務コスト

◆生産コスト

◆物流コスト

◆調達コスト

などに分けることができ、それぞれのコストを低減する必要があります。

 

利益増大が主目的とすると、多品種化、納期短縮、納期遵守、在庫・業務・生産・物流・調達コスト低減は副目的です。しかし、これらの副目的を、同時に実現するのは簡単ではありません。

例えば、以下のような事情です。

◆多品種化すると在庫コスト・業務コスト・物流コストが増大する。

◆在庫を減らすと欠品が増え、欠品を無くそうとすると在庫が増大する。

◆納入LT を短縮するために在庫が増え、在庫を減らすと納入LT が長くなる。

売上増大とコスト低減は、トレードオフの関係にあるかのように見えます。それでは、売上増大とコスト低減を同時に実現することはできないのでしょうか? そんなことはありません。近年の計画系SCM の研究により、適切なSCM 戦略を活用すれば、売上増大とコスト低減を同時に実現可能です。 本書は、計画系SCM の実現手段であるSCP(Supply Chain Planning)の導入方法を説明します。