一度構築されたシステムがいつの間にか利用されなくなる、段階的な導入を目指したはずが、初期段階から一向に先に進まない、こうした現実は日本の工場でもよく見かけます。これは中国といった他国で工場システムの運営を継続していくためには、最も留意しておかなければならない点だと思います。
「生産ラインの状況を見えるようにしろ」と新任の総経理の一言で始まった活動が、1年の紆余曲折を経て結実したが、トップが代われば方針も変わり、担当者がいなくなれば継続運用もままならない。そのため、せっかく投資したお金と工数が無駄になってしまっている工場を、これまで何社見てきたことでしょうか。
当社は、システム構築の段階から、運用マニュアルのお客様自身による新規作成とその後のメンテナンス、人材のジョブホップに備えた運用体制の2重化などを提案してまいりました。それなりの効果を生み出したと自負しておりますが、中国のお客様がなぜ、保守契約をされないのかが理解できません。これには確かに、従来のSI会社の常駐化によるシステム開発に慣れてきた文化も影響しているとは思います。
しかし、保守メンテナンスを含むパッケージソフトウェアをご利用いただく利点は、生産システムを短期間・安価に構築できるというだけでなく、保守運営の中でも、お客様によるシステムの改善、保守ベンダーによる継続したシステムサポートを受けられるということにもあると思うからです。
生産システムの定着化したお客様の中には、保守契約による新規バージョンのライセンス機能が必ずしも必要でないという場合もあります。その反面、ノンカスタマイズのパッケージソフトウェアに対する保守作業の継続は、自社内だけでなく、その保守を担当するSI会社やメーカー内に、自社のシステム環境・継続の条件といったものを、保険として確保しておくという目的もあります。
保険という視点からすれば、どの程度のリスクを想定し投資するか検討が必要といえます。しかし、日系の製造業にとっては他国での生産システムの運営であるということ、特に中国の現状では、人材の流出を想定しなければならないことからも、リーズナブルなシステム保守費用であれば、締結していただくことが、お客様のためだと当社は考えます。
保守費用は毎年発生するものですので、保守内容に関してのご注文やご助言がございましたら、ぜひ当社までお寄せください。