では、「お金を儲ける」とはどういうことでしょうか。私は小さい会社ですが、社長として24 年連続で黒字決算を出しています。その私の考えでは「お金を儲けるとは、お客様の希望を叶えることにより、お客様からお金をいただくこと」です。では、「お客様の希望」とは何でしょうか。お客様の希望は、「必要なモノを、必要なだけ、必要な時に、低価格で供給を受けること」です。これは古今東西、世界中変わらないのではないでしょうか。そのためには、企業は「売れる物を、売れる時に、売れるだけ、売れる所に、低コストで供給する」能力を高めることが必要です。では、「売れる物」「売れる時」「売れるだけ」「低コスト」とはどういうことでしょうか。以下に説明します。

 

売れる物

世界中の人々は生活が豊かになるにつれて、自分が欲しい商品を探して購入するようになります。1912 年のT 型フォードは、大量生産で低価格を実現するため色は黒だけでした。現在は、黒一色の選択しかない自動車ではお客様は買ってくれません。現在の自動車は、エンジン、色、オプションなど多くのバリエーションを持つことにより、お客様の希望を叶えています。

売れる商品をラインナップするには、製品数を多くしたり、色・サイズ・オプションや性能に関して、多くのバリエーションを持つ商品が必要です。売れない商品は削除します。多製品、多バリエーション化することはコストアップ要因になり、利益は減少します。よって、多品種・多バリエーションの製品を、低コストで供給する工夫が必要です。

 

売れる時

お客様は買うと決めたら早く欲しいと希望します。私は先日、自宅に仕事用の机を購入しました。複数の製品を比較して、ちょうどよい組み合わせができる机を見つけ、ショールームで現物を見学し、その後、ネットで価格を調べ、適当な低価格の販売店に注文の連絡をしました。そしたら「納期が2 カ月かかります」との販売店からの返事でした。私は「それなら考え直します」と電話を切りました。私はショールームで対応して頂いた担当に電話で「納期が2 カ月と言われました」と言うと「春は需要が急増する時期でして・・・」との返事でした。私は「それにしても机一個に2 カ月とは、おたくのサプライチェーンはどうなっているんですか」と余計な文句を言って電話を切りました。その翌日、再度、販売店から電話があり、2 週間で納品との連絡がありました。それでめでたく私はその机を注文しました。

お客様の要求納期を満足しなければ、売上を逸します。製品在庫を多く持てば短納期を実現できます。しかし、製品在庫を多く持つことは在庫保有コストが増加し、コストアップ要因になり、利益は減少します。したがって、短納期でも極力在庫を少なくする工夫が必要です。

 

売れるだけ

お客様はある時は1 個欲しいと希望し、ある時は3 個欲しいと希望します。もし、あなたが「その商品は、1 箱単位でしか売りません」と言ったら、お客様の希望を叶えていません。お客様の希望を叶えるためには小ロットで生産・物流できることが必要です。小ロット生産・小ロット物流は、サプライチェーン内の在庫を削減し、在庫保有コストを下げます。たとえば、日本のセブンイレブンは設立当初から、商品によっては店舗への配送を箱単位から、箱の中味を取りだして、1 個単位にしました。これにより、店舗の在庫を圧縮しました。

しかし、小ロット生産は段取り替えが増え生産コストアップ要因になり、小ロット物流は物流コストアップ要因になり、利益は減少します。したがって、小ロット生産・小ロット物流でも極力コストアップしない工夫が必要です。

 

低価格

以上をまとめると、お客様のニーズに沿った多品種・多バリエーションの商品を取り揃え、小ロット・ローコストで生産・物流し、世界中のお客様に短納期で納入できることが必要です。言い換えると、「売れる物を、売れる時に、売れるだけ、売れる所に、低コストで供給する」ことです。「グローバル市場からお金を儲ける」ことが目的ですから、世界中に供給することが必要で、まさに、グローバルサプライチェーンの問題を解決する必要があります。