今回は少し視点を変え、5月31―6月4日、台湾地区で開催された「台湾COMPUTEXTAIPEI2011」(www.computex.biz/computex2011_en/)に出展した内容の報告を兼ねて、他国の工場の見える化について考えてみたいと思います。
中国大陸では100万人を超える台湾地区の方々が働いており、日本の製造業の中にも台湾地区企業との合併により中国進出している企業がたくさんあります。
台湾地区の大手製造業も日本と同様に台湾地区内を研究開発拠点、中国工場を量産工場と位置づけているメーカーが多く存在します。彼らも同じ中国語を使いますが、いろいろ事情の異なる中国大陸の環境での工場運営に関しては、苦労しているという声を会場でも多く耳にしました。
また、台湾地区の工場自体、世界のOEM工場といわれるように、他国のブランドの製品を多く生産しており、発注元にそのラインを見える化することが常に求められています。
台湾地区と日本を比較した場合、生産管理というシステムでは日本が上ですが、自らの工場の見える化という命題に常にさらされてきた台湾地区の製造業には、システム以外のラインの見える化のノウハウに関して、一日の長があるように感じました。
そのノウハウとして挙げられるのが人の管理といえるでしょう。情報システム環境をいくら完璧に整備しても、そこに情報を与えるのは人間であり、人間には都合が悪いことを秘匿する癖があるというのです。
例えば、あるオーナー会社の社長(台湾地区の現地企業にはオーナー会社も多い)の話では、中国工場で不都合な現実を見える化させるためには罰則の強化ではダメで、逆に失敗しても正直に報告してきた社員には進んで褒賞を与え、自分達の仕事にプライドを持たせることが肝心だといっていた点が耳に残りました。
私自身もそうですが、どうしても理解しにくい他国人のこととなると疑いが先に立ちがちです。信用と信頼は別のものと理解し運用していくことが必要なようです。
今回は、システム自体より、それを運用する人間という観点から見える化のコツを勉強させられた思いです。今後、当社は8月に台湾地区の数都市でセミナーを現地パートナーと開催させていただく予定です。より多くの台湾地区の製造業の方とお会いできるいい機会ですので、また、その時のご報告をさせていだく機会があればと存じます。