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 読者の方々から理論だけでなく、もっと生々しい実例を教えてほしいというご要望が多く、今回は事例紹介をさせていただきます。まずは、大手日系製造業の工場での生産スケジューラと実績収集の導入による生産現場の見える化実現プロジェクトについてです。
 昨今、日本の大手製造業のシステム導入は、コンプライアンスの名のもとに日本から海外へも同じシステムが導入されています。しかるに現地の事情を知らない本社情報システムでは、そのプロジェクトのコントロールができず、現地工場もしかりです。これまで現地のことは現地に任されていたのに、いきなり日本本社からこれでやれ、あとは任せたといわれても、日本人と中国人のコンセンサスが取れません。
 顧客の日本本社と中国工場、中国工場内の日本人と中国人の間の対立に巻き込まれ、苦労するのはシステム導入を担当するSI会社だけです。このような問題を避けるため、当社は常にお客様に以下の点を提案しています。
 1、要件定義書は日本語と中国語でつくり、顧客の日本本社と中国工場の両社の承認を要求する。2、プロジェクト報告会は現地では週単位で、日本とは月次で行う。3、プロジェクト報告書・その他文書は日本語と中国語で作成する。
 上記はあくまで仕組みです。運用はお客様自体に主体者になっていただきます。日本でもこれまで導入ベンダ任せ、ご自分たちはあくまで発注者という立場のプロジェクトも経験してまいりましたが、海外工場を含んだプロジェクトではこのような体制は致命的です。後から多大に追加投資し、結局失敗したERPプロジェクトのなんと多いことでしょう。
 さらにロールアウトプロジェクト(日本の工場から海外の工場へシステムを段階的に展開)を担当するSI会社も問題です。海外の案件を担当する経験が少なく、顧客のように日本本社と中国支店のコミュニケーションが取れていない場合、大切なシステム導入を任せたらどうなるかわかりません。
 また、中国に支社を持たないようなシステム会社や生産スケジューラソフトウェアのメーカに仕事を依頼するのも問題です。自社自らが中国における経験がないのにパートナーによる支援体制があるというのはまやかしにすぎません。
 現在、グローバルシステムの導入をお考えのお客様は当方までご相談ください。当社としての経験や対応のノウハウから、失敗しない「生産ラインの見える化」をご提案させていただきます。

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