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 当社は現在、中国で2つの日本からの生産システムのロールアウトを担当しています。いずれの場合も、世界的に進むERP導入の標準化とともに、当社製品が世界の需要に対応できる製品として選択されたプロジェクトです。今回は、今後も増加が予想させる統一システムの導入に関して重要なポイントをご紹介させていただきます。

テンプレートシステムという幻想
 日本本社の情報システムの肝いりで始まるこの手のシステム導入には、よく全世界共通の「テンプレート導入」という言葉が躍ります。しかし、生産ラインの共通化もできていないローカル工場での導入には配慮が必要です。当社製品のようなカスタマイズを許さないソフトウェアパッケージであっても、そのアドオンプログラムには工夫が不可欠です。アウトプットの形式にこだわることなく、エクセルがエンドユーザーにとって親和性の高いものなら迷わず選択すべきです。また、インプットに関しても生産スケジューラはリスケジュールのタイミングで製造実績データが必要となりますので、紙で書いてあとからバッチ入力しても構わないのです。

お互いを知らない本社と工場
 導入に当たっての大きな弊害が日本本社の人材が、海外工場の事情を知らないことです。また、海外工場はプロジェクトの遅れやその原因を本社に報告しようとしないことが多いです。その中で当社のような第三者が両者の間に立ってコミュニケーションを助けるというような無駄な工数も多く発生しています。日本ではまだ少ないといわれる強力なCIO(chiefinformationofficer)が求められます。また、プロジェクトの進捗管理には共通言語として英語が利用されることも多いので、プロジェクトのメンバーの語学力も不可欠です。

海外工場の見える化は現地調査から
 導入では複数の国の導入を同時に行うのではなく、各国の事前現地調査を十分に行い、個々に進めていくことが重要です。元来、海外工場の建設では事前調査を念入りに行ったはずです。ハードウェアがそうである以上、形のないソフトウェアに対しては、なおのこと慎重であるべきです。海外導入システムの成功のポイントをお知りになりたいCIOの方は、日本で開催予定の「CIOJapanサミット2011」(http://www.ciojapansummit.com/)にぜひご参加ください。その場で当社のノウハウをお話しさせていただきます。

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