第一世代の生産スケジューラAsprovaは、1994年以来9年間にわたりバージョンアップを行い、日本国内ではベストセラー製品になりました。その後、2001年から第二世代の生産スケジューラの設計に取り掛かりました。第一世代の生産スケジューラは生産工程のスケジュールを作成するソフトウェアでした。

第二世代の生産スケジューラは、生産工程をスケジュールするツールから、購買や受注(出荷)もスケジュールするツール、短期間のスケジュールを作成するツールから、中期・長期もスケジュールするツールへと変貌を遂げました。私どもは、この種類のツールを生産計画スケジューラ (APS : Advanced Planning and Scheduling)と呼んでいます。

生産工程をスケジュールすることにより生産リードタイムは短縮できます。しかし、リードタイムは購買から生産・納入の全体を指します。生産計画スケジューラは、購買から生産・納入までを一貫してスケジュールすることにより、初めて購買リードタイム、生産リードタイム、納入リードタイムのすべてを短縮し、その結果、トータルなリードタイム短縮を実現します。

生産スケジューラで短期のスケジュールを作成します。しかし、会社は長期計画、中期計画、短期計画の順で計画をします。生産計画スケジューラは、長期・中期・短期のスケジュールを作成し、会社の計画業務全体をサポートします。

生産計画スケジューラは以下の機能を備えています。

●生産スケジューリング

設備や人員の能力を考慮した有限能力スケジューリングを行います。有限能力スケジューリングにより工場の現場で実施可能な作業指示を作成します。

 

関連項目 :生産スケジューリング

●所要量計算

製造オーダとBOM(部品表)から、部品と原材料の所要量を計算します。このデータをもとに必要な部品の生産スケジュールを立案し、原材料の発注に必要なデータを作成します。

関連項目 :所要量の見える化

●受注スケジューリング

受注オーダをスケジュールして、製造オーダや在庫にひも付けます。これにより、受注オーダがジャストインタイムに出荷されるように生産スケジュールを作成します。

関連項目 :受注スケジューリング

●購買スケジューリング

購買リードタイムを考慮したスケジュールをします。MRPでは不可能な、有限能力スケジューリングによりジャストインタイムな購買の発注タイミングを算出します。

関連項目 :購買スケジューリング

●中期スケジューリング

3ヶ月程度のスケジューリングをします。取引先からの内示オーダなど、より確かな需要の予測値から、工程負荷を考慮して、所要量計算し、原料の必要な量とタイミングを算出します。

関連項目 :中期スケジューリング

●長期スケジューリング

需要予測データや販売計画を元に、1年程度のスケジュールを作成します。これにより、年度のコスト、利益計算、製品戦略、設備計画が可能となります。

関連項目 :長期スケジューリング

●KPI・原価計算

長期・中期・短期のスケジュール結果から、KPIを計算します。KPIには、オーダKPI、資源KPI、品目KPI、期間KPIなどがあります。これにより個別原価計算も可能となります。

関連項目 :KPIの見える化

関連項目 :個別原価の見える化

生産計画スケジューラは「人間生産スケジューラを助けるツール」から「製造業の利益増大に貢献するツール」に進化しました。本書では、生産計画スケジューラ(APS)が製造業の利益増大にいかに貢献するかについて説明します。