例えば、自動車生産のサプライチェーンといった場合、本質的には鉱山から金属の原材料を採掘する場面から、販売店でお客様に車を販売する場面までが含まれます。しかし、SCM を行う場合、管理範囲として、全体を1 つのサプライチェーンで扱うことは現実にはできません。その一部分を管理範囲とします。また、部署間、会社間などの諸問題や複雑性のために、以下のように、物流計画・生産計画・調達計画に焦点を絞って管理することもよくあります。

 

物流計画 (需給調整)

 

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上図は、工場で製品が完成してから、顧客に配送されるまでの多層DC の物流サプライチェーンです。顧客C1 からC8 が需要側、工場F1, F2 が供給側です。このサプライチェーンで需給調整をします。顧客に直接面しているため、顧客満足度や会社の利益に直接的影響を与えるため重要な部分です。

 

 

生産計画

 

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上図は、グローバルな複数生産拠点で生産する場合の多層工場のサプライチェーンです。物流センターD5, D6 からの需要を工場F1,F2 でどれだけ生産するか、工場F1, F2 からの需要を工場F3, F4 でどれだけ生産するかを生産配分します。

 

調達計画

 

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上図は、グローバル調達をする場合のサプライチェーンです。工場F3, F4 の需要を、サプライヤS1, S2, S3, S4 でどのように割当て、または、配分して調達するかを計画します。

上記いずれも、川下が需要側で、川上が供給側です。物流計画の範囲を需給調整と呼ぶ場合が多いですが、本質的には、物流計画、生産計画、調達計画はすべて需給調整であり、SCP で計算するときは、論理的にはすべて同じです。

SCM をIT 化するには、部署間、会社間などの問題や複雑性の問題を考慮して、管理対象となるサプライチェーンの範囲を決める必要があります。